「CTO不在」のスタートアップが投資家から評価されない理由
「良いプロダクトのアイデアがあるのに、投資家から相手にされない」
「事業計画は完璧なのに、技術チームがいないという理由で見送られた」
「CTOを見つけてから来てくださいと言われた」
「技術的な質問にうまく答えられず、ピッチが撃沈した」
非エンジニアの創業者から、こうした悩みを何度も聞いてきました。
素晴らしいビジネスアイデアがある。市場のペインもわかっている。顧客インタビューも重ねた。なのに、投資家との面談で必ず引っかかるのが「技術チーム」の話。
「CTOは誰ですか?」
この質問に答えられないだけで、どれだけ優れたビジョンを持っていても、投資家の目が曇るのを感じたことはありませんか?
なぜ投資家は「CTO不在」を問題視するのか —— 彼らの視点を理解する
投資家が意地悪をしているわけではありません。
彼らは何十、何百もの案件を見てきた中で、「CTO不在のスタートアップが高確率で失敗する」という現実を知っているのです。
私自身も、技術顧問として多くのスタートアップに関わる中で、この問題の深刻さを痛感してきました。
投資家が見ているのは、以下のポイントです。
- 実行力への疑問:アイデアは良くても、本当に作れるのか?
- 技術リスク:外注任せで技術的な判断は誰がするのか?
- スケーラビリティ:成長フェーズで技術的な壁にぶつからないか?
- チームの完成度:創業チームとして不完全ではないか?
これらは決して理不尽な懸念ではありません。むしろ、投資家として当然確認すべきリスクポイントです。
この記事でわかること:投資家の視点と、CTO不在でも評価される方法
CTO不在スタートアップが抱える課題
この記事では、以下のことをお伝えします。
- 投資家がCTO不在をNGとする5つの本当の理由:表面的な理由の裏にある本音
- CTO不在が招く具体的な失敗パターン:実際に起きた事例から学ぶ
- CTO不在でも投資を獲得した企業の共通点:打開策は存在する
- 今日からできる技術リスク軽減の方法:具体的なアクションプラン
「CTOを見つけてから来てください」と言われて諦めかけているあなたに、別の道があることをお伝えします。
投資家がCTO不在をNGとする5つの本当の理由
理由1:開発の実行力が担保できない
投資家にとって最大の懸念は、**「このチームは本当にプロダクトを作れるのか?」**という点です。
アイデアは誰でも語れます。しかし、それを形にする技術力がなければ、ただの絵に描いた餅です。
非エンジニアの創業者が「開発は外注します」と言った瞬間、投資家の頭には以下の疑問が浮かびます。
- 外注先をどうやって選ぶのか?(技術がわからないのに)
- 外注先の成果物をどう評価するのか?(品質がわからないのに)
- 外注先とのコミュニケーションは成立するのか?(専門用語がわからないのに)
- 外注先が逃げたらどうするのか?(リカバリーができないのに)
これらすべてに「社内に技術がわかる人がいません」と答えることになります。
理由2:技術的な意思決定ができない
スタートアップは日々、技術的な意思決定を迫られます。
- どのプログラミング言語を使うか
- クラウドはAWSかGCPかAzureか
- データベースは何を使うか
- セキュリティ対策はどこまでやるか
- 技術的負債をどこまで許容するか
これらの判断を誰がするのでしょうか?
「開発会社に任せます」は答えになりません。開発会社は、あなたの事業の成功にコミットしているわけではないからです。彼らは契約どおりに動くだけ。最適な技術選定を自発的にしてくれるとは限りません。
むしろ、自社の得意な技術スタックを押し付けられる可能性すらあります。
理由3:ピボット対応力への懸念
スタートアップはピボットの連続です。
最初のMVPを出してみたら、まったく違う方向に舵を切る必要があることは珍しくありません。
このとき、技術チームが社内にいれば:
- 素早くプロダクトを改修できる
- 新しい仮説をすぐに検証できる
- 技術的な制約を理解した上で最適解を出せる
しかし外注依存だと:
- 仕様変更のたびに追加費用が発生
- 開発会社との再交渉に時間がかかる
- そもそも柔軟な対応を断られることも
投資家は「このチームは変化に対応できるか?」を見ています。CTO不在は、この対応力に大きな疑問符を付けるのです。
理由4:技術的負債の蓄積リスク
多くのスタートアップは、初期の技術的負債が原因で成長が止まります。
「とりあえず動くもの」を作り続けた結果:
- 新機能の追加に既存機能の3倍の時間がかかる
- バグが頻発し、ユーザー離脱が止まらない
- エンジニアを採用しても、コードの品質に驚いて辞めていく
CTO不在のまま外注で作ったプロダクトは、この技術的負債が見えないまま蓄積されていきます。
そして、シリーズAに向けてスケールしようとしたとき、「このコードでは無理です。作り直しが必要です」と宣告される。
投資家はこのパターンを何度も見てきています。だからこそ、最初から技術をわかる人間がいないチームには投資したくないのです。
理由5:採用と組織構築への不安
仮にシードで投資を受けたとしても、その後のチーム構築が問題になります。
- CTOをどうやって採用するのか?
- エンジニアの採用面接を誰がするのか?
- 技術チームのカルチャーを誰が作るのか?
- エンジニアのマネジメントを誰がするのか?
非エンジニアの創業者だけでは、これらすべてが暗礁に乗り上げます。
優秀なエンジニアは、技術を理解しない経営者の下で働くことを嫌います。「この会社で技術的に成長できるか?」「技術的な意思決定権があるか?」を重視するからです。
CTOが不在のまま資金調達しても、その後のチーム構築で詰む可能性が高い。投資家はそれを見越しているのです。
CTO不在が招いた失敗事例:資金調達後に詰んだBさんの話
具体的な事例をお話しします。
Bさんは、人材業界で10年のキャリアを持つ非エンジニアの起業家。業界の非効率を解消するSaaSを構想し、友人の紹介でエンジェル投資家から1,500万円を調達しました。
「CTOはいないが、業界知識と顧客ネットワークがある」という点が評価されての投資でした。
調達後の計画
- 開発会社にMVP開発を委託
- MVPで初期顧客を獲得
- トラクションを作ってシリーズAへ
一見、合理的なプランに見えます。しかし、現実は甘くありませんでした。
3ヶ月後 開発会社からMVPが納品。しかし、想定していた機能の半分しか実装されていませんでした。
「仕様書に書いてないことは作れません」と開発会社。 「そんなはずはない、口頭で伝えた」とBさん。
追加開発に150万円、2ヶ月の延期が発生しました。
6ヶ月後 ようやくMVPが完成。初期顧客に使ってもらうと、致命的なバグが発覚。
開発会社に修正を依頼するも、「これは仕様変更にあたる」と追加費用を請求される。
さらに、「当初の開発担当者が退職したため、コードの理解に時間がかかる」と言われ、修正に1ヶ月以上を要しました。
9ヶ月後 初期の1,500万円はほぼ使い切り、開発会社への追加支払いが発生。
シリーズAを目指してVCにピッチするも、技術的な質問に答えられず、すべて見送り。
「CTOを採用してから来てください」
この言葉を何度聞いたことか。
12ヶ月後 資金が底を突き、事業継続を断念。
開発会社からはソースコードを引き渡されたものの、ドキュメントもなく、他のエンジニアに見せても「何が書いてあるかわからない」と言われる状態でした。
敗因の分析
- 開発会社との仕様の認識齟齬を見抜けなかった
- 成果物の品質を評価できなかった
- 技術的な問題が発生したとき、判断できる人がいなかった
- CTOを探す時間も余裕もなくなった
「最初から技術のわかる人間を入れておけば」——Bさんは今でも悔やんでいます。
CTO不在でも評価されるための戦略
CTO不在でも投資を獲得する3つの戦略
では、CTO不在のまま投資を諦めるしかないのでしょうか?
そんなことはありません。実際に、CTO不在でも投資を獲得したスタートアップは存在します。彼らに共通するのは、**「CTO不在のリスクを軽減する仕組み」**を持っていることです。
戦略1:技術顧問・技術参謀を迎える
フルタイムのCTOを採用できなくても、技術の意思決定を任せられる存在がいれば、投資家の懸念は大幅に軽減されます。
技術顧問(テクニカルアドバイザー)や、最近では「フラクショナルCTO」と呼ばれるパートタイムのCTOを迎える選択肢があります。
彼らの役割は:
- 開発会社の選定・見積もり精査
- 技術的な意思決定のサポート
- コードレビュー・品質チェック
- 将来のCTO採用の面接サポート
週に数時間〜数日の稼働でも、「技術がわかる人間がチームにいる」という状態を作れます。
投資家へのピッチでも、「技術顧問として○○氏を迎え、技術的な意思決定はすべてレビューを受けています」と言えるのは大きな強みです。
atelier binaryは、まさにこの「技術参謀」としてスタートアップをサポートしています。技術がわからないことで挑戦を諦める起業家をゼロにするというビジョンのもと、開発の失敗回避、コスト削減、技術選定の正解など、創業者が本当に必要としている判断をお手伝いしています。
戦略2:技術共同創業者を本気で探す
「CTOを探しているけど見つからない」という声をよく聞きます。
しかし、本当に「本気で」探していますか?
多くの非エンジニア創業者は、エンジニアのコミュニティに入っていません。LinkedInで「CTO募集」と投稿する程度で、本気の採用活動とは言えません。
CTOを見つけた創業者たちがやっていること:
- 技術系のイベント・勉強会に毎週参加する
- エンジニアが集まるSlackやDiscordに入る
- 自分の事業アイデアをエンジニアに話し続ける
- 「CTOを探している」と周囲に言い続ける
- 既存のエンジニアネットワークを持つ投資家に相談する
運命の出会いを待っているだけでは、CTOは見つかりません。100人のエンジニアに会う覚悟で動いている起業家だけが、CTOを見つけています。
戦略3:自分で技術を学ぶ
極端な話ですが、創業者自身が技術を学ぶという選択肢もあります。
もちろん、今からプロのエンジニアになることは現実的ではありません。しかし、以下のレベルを目指すことは可能です:
- 技術的な会話についていける
- エンジニアの言っていることが理解できる
- 開発会社の見積もりが妥当か判断できる
- 簡単なプロトタイプなら自分で作れる
最近はノーコード・ローコードツールも充実しています。Bubble、Flutterflow、Adaloなどを使えば、非エンジニアでもMVPを作ることは可能です。
「創業者自らがノーコードでMVPを作り、初期顧客を獲得した」
このストーリーは投資家に刺さります。技術力がなくても、実行力があることの証明になるからです。
こんな方に、この記事を届けたい
- CTOがいないことを理由に投資を断られた方
- 技術チームなしで資金調達を目指している方
- 開発を外注に頼り切ることに不安を感じている方
- CTOを探しているがなかなか見つからない方
- 技術的な判断を誰かに任せたい非エンジニア起業家
「CTOがいないから」を言い訳にするのはやめましょう。
CTOがいないなら、いないなりの戦い方があります。重要なのは、技術リスクを軽減する仕組みを作ることです。
投資家は、リスクを理解し、対策を講じている創業者を評価します。「CTOはいませんが、問題ありません」では通用しません。「CTOはいませんが、こういう体制で技術リスクを管理しています」と言えることが重要です。
まとめ:CTO不在は克服できる課題である
CTO不在を克服するためのポイント
CTO不在のスタートアップが投資家から評価されにくいのは事実です。
しかし、それは「CTOを見つけるまで何もできない」ということではありません。
投資家が本当に気にしているのは、**「このチームは技術的なリスクを管理できるか?」**という点です。
CTOがいなくても、以下の状態を作れれば、投資家の評価は変わります:
- 技術的な意思決定を任せられる顧問がいる
- 開発会社の選定・管理を適切に行える
- 技術的な質問に対して筋の通った回答ができる
- 将来のCTO採用に向けた明確な計画がある
今日からできるアクション:
- 技術顧問・フラクショナルCTOを探す:週数時間でも、技術のプロを味方につける
- エンジニアコミュニティに入る:CTOとの出会いの確率を高める
- 技術リテラシーを高める:基本的な技術用語、開発フローを理解する
- 開発の現状を第三者にレビューしてもらう:外注の品質を客観的に評価する
「技術がわからない」ことは、投資を諦める理由にはなりません。
わからないなら、わかる人を味方につければいい。それだけのことです。
技術のことで悩んでいるなら、まずは相談してみませんか?
私たちatelier binaryは、「技術がわからないことで挑戦を諦める起業家をゼロにする」というビジョンのもと、非エンジニア起業家の技術参謀を務めています。
- CTO不在で投資家にどうアピールすべきか相談したい
- 開発会社の選定・見積もり精査をお願いしたい
- 技術顧問として参画してほしい
- とにかく技術のことで話を聞いてほしい
こんな悩みがあれば、初回相談は無料でお受けしています。