CTO不在のままシリーズA調達へ。技術デューデリジェンスを乗り切るための準備
「技術のことを聞かれたら、どう答えればいい?」CTOなきシリーズAの壁
「シードは通過した。プロダクトも伸びている。でも、シリーズAが見えてきて急に不安になった」
「投資家から『技術デューデリジェンスをさせてください』と言われたけど、何を準備すればいいかわからない」
「CTOがいないことを、投資家にどう説明すればいいんだろう…」
こんな悩みを抱えていませんか?
シード期は勢いで乗り越えられたかもしれません。プロダクトの可能性、市場の大きさ、創業者の情熱。それだけで投資を決めてくれる投資家もいます。
しかし、シリーズAは違います。
シリーズAでは、投資家はより厳密にリスクを評価します。その中でも特に重視されるのが「技術デューデリジェンス(技術DD)」です。
CTOがいない状態で、技術DDにどう対応すればいいのか。
答えられずにいると、せっかくの調達機会を逃してしまうかもしれません。
でも、安心してください。
CTOがいなくても、技術DDを乗り切ることは可能です。
私たちは多くの「CTO不在」の起業家を見てきました
「CTOがいないと、シリーズAは無理なのでは?」
この不安は、非常によく聞きます。
確かに、技術DDでは専門的な質問が飛んできます。アーキテクチャ、スケーラビリティ、セキュリティ、技術的負債…
エンジニアでない創業者にとって、これらの質問に答えるのは難しいでしょう。
しかし、投資家が見ているのは「CTOがいるかどうか」ではありません。
投資家が本当に知りたいのは:
- 技術的なリスクを把握しているか
- そのリスクに対する対策があるか
- 技術チームをマネジメントできる体制があるか
- スケールに耐えられる技術基盤があるか
これらを明確に説明できれば、CTOがいなくても技術DDは乗り切れます。
実際、CTOなしでシリーズAを調達したスタートアップは存在します。
彼らはどうやって技術DDを乗り越えたのでしょうか?
この記事でわかること:CTO不在で技術DDを乗り切る方法
技術デューデリジェンスを乗り切る方法
この記事では、CTOがいない状態でシリーズAの技術デューデリジェンスを乗り切るための具体的な準備方法を解説します。
読み終わる頃には、以下のことがわかります:
- 技術DDで投資家が本当に見ているポイントを理解できる
- CTOなしでも準備できる技術ドキュメントがわかる
- 技術的な質問への答え方を習得できる
- 外部リソースの活用方法がわかる
- 技術DDを「強み」に変える方法を学べる
エンジニアでなくても、CTOがいなくても、正しい準備をすれば技術DDは怖くありません。
技術デューデリジェンスで投資家が見る5つのポイント
まず、投資家が技術DDで何をチェックしているのかを理解しましょう。
敵を知れば、対策が立てられます。
1. 技術スタック(使っている技術)の妥当性
投資家の質問例:
- 「なぜこのプログラミング言語を選んだのですか?」
- 「このフレームワークを選んだ理由は?」
- 「他の選択肢と比較しましたか?」
投資家が見ているポイント:
- 流行りではなく、合理的な理由で技術を選んでいるか
- エンジニア採用がしやすい技術か
- 長期的にメンテナンスできる技術か
2. アーキテクチャ(システム設計)の拡張性
投資家の質問例:
- 「ユーザーが10倍になっても耐えられますか?」
- 「システムの構成図を見せてください」
- 「ボトルネックになりそうな箇所は?」
投資家が見ているポイント:
- 急成長に対応できる設計になっているか
- 将来の機能追加がしやすい構造か
- 単一障害点(SPOF)がないか
3. セキュリティ対策
投資家の質問例:
- 「ユーザーデータはどのように保護していますか?」
- 「セキュリティ監査は受けていますか?」
- 「インシデント発生時の対応フローは?」
投資家が見ているポイント:
- 基本的なセキュリティ対策ができているか
- 個人情報保護の意識があるか
- インシデント対応の体制があるか
4. 技術的負債の状況
投資家の質問例:
- 「技術的負債はどれくらいありますか?」
- 「リファクタリングの計画はありますか?」
- 「テストカバレッジはどれくらいですか?」
投資家が見ているポイント:
- 技術的負債を認識しているか
- 返済計画があるか
- 品質を維持する仕組みがあるか
5. 開発チームの体制と能力
投資家の質問例:
- 「開発チームの構成を教えてください」
- 「CTOの採用計画はありますか?」
- 「開発プロセスはどうなっていますか?」
投資家が見ているポイント:
- チームが技術的課題を解決できるか
- 今後のスケールに対応できる採用計画があるか
- 開発の進め方が体系化されているか
CTO不在でも準備できる7つの技術ドキュメント
技術DD準備のステップ
技術DDで重要なのは、「把握していること」を示すことです。
以下の7つのドキュメントを準備しておけば、CTOがいなくても投資家に安心感を与えられます。
ドキュメント1:技術スタック一覧
含めるべき内容:
【フロントエンド】
- 言語:TypeScript
- フレームワーク:React / Next.js
- 選定理由:エンジニア採用がしやすい、エコシステムが充実
【バックエンド】
- 言語:Python
- フレームワーク:FastAPI
- 選定理由:AI/ML機能の将来的な拡張を考慮
【インフラ】
- クラウド:AWS
- 選定理由:スケーラビリティ、日本リージョンの存在
【データベース】
- PostgreSQL(RDS)
- 選定理由:信頼性、拡張性
ポイント: 「なぜその技術を選んだのか」を必ず書く。たとえ外注先が選んだとしても、理由を理解しておく。
ドキュメント2:システムアーキテクチャ図
簡単な図で構いません。システムの全体像がわかればOKです。
最低限含めるべき要素:
- ユーザー(Web/モバイル)
- フロントエンド
- バックエンド(API)
- データベース
- 外部サービス(決済、認証など)
- それらの接続関係
Figma、draw.io、Miroなど、どんなツールでも作れます。
ドキュメント3:セキュリティ対策チェックリスト
以下の項目について、対応状況をまとめます:
認証・認可
- パスワードのハッシュ化
- セッション管理
- 二要素認証(対応予定でもOK)
データ保護
- 通信の暗号化(HTTPS)
- データベースの暗号化
- バックアップ体制
インフラ
- ファイアウォール設定
- アクセスログの保存
- 脆弱性スキャン(定期的に)
未対応の項目があっても問題ありません。「認識している」ことが重要です。
ドキュメント4:技術的負債リスト
正直に、現状の課題をリストアップします:
例:
| 項目 | 内容 | 優先度 | 対応予定 |
|---|---|---|---|
| テスト | ユニットテストが不足 | 高 | Q2に整備予定 |
| ドキュメント | API仕様書が古い | 中 | Q1に更新予定 |
| リファクタリング | 初期コードの整理 | 中 | Q2に実施予定 |
← 横にスクロールできます →
ポイント: 隠すより、把握していることを示す方が信頼される。
ドキュメント5:開発ロードマップ
今後6〜12ヶ月の開発計画をまとめます:
例:
- Q1:基盤整備(テスト追加、ドキュメント整備)
- Q2:スケーラビリティ強化(インフラ最適化)
- Q3:新機能A開発
- Q4:新機能B開発、CTO採用
ドキュメント6:開発プロセス説明書
現在の開発の進め方を説明します:
含めるべき内容:
- 開発手法(アジャイル/スクラム等)
- スプリントの長さ
- コードレビューの有無
- デプロイの頻度と方法
- 障害発生時の対応フロー
ドキュメント7:チーム体制と採用計画
現在のチーム構成:
- エンジニア:○名(フルタイム/業務委託の内訳)
- 役割分担
採用計画:
- CTO:○月までに採用予定
- エンジニア:シリーズA後に○名増員予定
- 採用チャネル:エージェント、リファラル等
技術的な質問への3つの回答パターン
投資家からの技術的な質問に、非エンジニアがどう答えればいいか。
以下の3パターンを覚えておけば、大抵の質問に対応できます。
パターン1:知っている場合
質問: 「なぜReactを選んだのですか?」
回答例: 「エンジニア採用のしやすさと、エコシステムの充実度で選びました。弊社のターゲット市場を考えると、今後半年で3名のエンジニアを採用する必要があります。React経験者は国内に多く、採用競争力を維持しやすいと判断しました」
ポイント: ビジネス観点からの理由を述べると、非エンジニアでも説得力が出る。
パターン2:把握しているが詳細は専門家に任せている場合
質問: 「アーキテクチャの詳細を教えてください」
回答例: 「全体像としては、フロントエンドとバックエンドを分離したマイクロサービス的な構成です。詳細な設計は、開発を担当している○○社のリードエンジニアと週次で確認しています。必要であれば、彼を含めた技術ミーティングを設定できます」
ポイント: 全体は把握している、詳細は専門家がいる、と伝える。
パターン3:把握していない場合
質問: 「テストカバレッジはどれくらいですか?」
回答例: 「正直に申し上げると、現時点で正確な数値は把握していません。ただ、これは技術DD後に整備すべき項目として認識しています。今週中に開発チームに確認して、来週お伝えできます」
ポイント: 知らないことを隠さない。把握する姿勢を見せる。
外部リソースを活用する3つの方法
CTOがいないなら、外部の力を借りればいいのです。
方法1:技術顧問を置く
フルタイムのCTOを雇えなくても、週数時間のアドバイザーなら確保しやすいです。
技術顧問に依頼できること:
- 技術DD対策の相談
- アーキテクチャのレビュー
- 投資家ミーティングへの同席
- 技術ロードマップのレビュー
見つけ方:
- エンジェル投資家のネットワーク
- 起業家コミュニティ
- 技術顧問マッチングサービス
月額10〜30万円程度で、CTOレベルの知見を借りられます。
方法2:技術DDの事前診断を受ける
投資家の技術DDの前に、第三者に技術診断をしてもらう方法です。
メリット:
- 弱点を事前に把握できる
- 対策を打ってからDDに臨める
- 「第三者のレビューを受けている」と言える
技術顧問や、開発会社に依頼できます。
方法3:開発パートナーに協力を依頼する
外注で開発している場合、開発会社にDD対応を依頼できます。
依頼できること:
- 技術ドキュメントの作成
- アーキテクチャ図の作成
- 投資家ミーティングへの同席
- 技術的な質問への回答
ただし、丸投げはNGです。
最終的に説明責任があるのは創業者です。外注先に作ってもらったドキュメントでも、内容は必ず理解しておきましょう。
技術DDを「強み」に変える3つのテクニック
技術DDは「乗り切るもの」ではなく、**「信頼を獲得する機会」**として活用できます。
テクニック1:正直さで信頼を勝ち取る
技術的な課題を隠そうとする起業家は多いですが、投資家は見抜きます。
むしろ、正直に課題を伝えることで信頼を得られます。
悪い例: 「技術的な問題はありません」(ほぼ100%嘘)
良い例: 「技術的負債は認識しています。リストアップしたものがこちらです。優先度をつけて、シリーズA後の半年で主要な項目を解消する計画です」
テクニック2:ビジネス観点で技術を語る
非エンジニアだからこそ、ビジネスと技術を結びつけて語れます。
技術者的な説明: 「マイクロサービスアーキテクチャを採用しています」
ビジネス的な説明: 「機能ごとに独立してデプロイできる設計にしています。これにより、特定の機能だけを素早く改善したり、一部の機能に問題が起きても全体が止まらないようになっています。事業成長のスピードを落とさないための設計判断です」
投資家は技術の詳細より、事業への影響を知りたいのです。
テクニック3:「技術をマネジメントできる」ことを示す
CTOがいなくても、技術をマネジメントする能力があることを示せます。
示すべきポイント:
- 技術チームと定期的にコミュニケーションを取っている
- 技術的な意思決定プロセスがある
- 課題を把握し、優先順位をつけられる
- 必要に応じて外部の専門家を活用している
「CTOはいませんが、技術をマネジメントする体制は整っています」
これが言えれば、投資家の懸念は大きく軽減されます。
よくある質問と回答
Q:CTOがいないことを正直に言うべきですか?
A:はい、正直に言うべきです。 隠しても必ずバレます。むしろ、「CTOはいませんが、こういう体制で技術をマネジメントしています」と説明した方が信頼されます。
Q:技術顧問は投資家ミーティングに同席してもらうべき?
A:可能なら同席をお願いしましょう。 特に、技術的に深い質問が予想される場合は効果的です。ただし、創業者が全く答えられないと逆効果なので、事前に想定問答を準備しておきましょう。
Q:外注開発でも技術DDは通過できますか?
A:はい、可能です。 ただし、外注先に丸投げしているとバレます。「外注先とこういう体制で協業している」「将来的には内製化を進める計画がある」と説明できるようにしましょう。
Q:技術DDで落とされることはありますか?
A:あります。 ただし、落とされる理由の多くは「技術力がない」からではなく、「技術リスクを把握していない」「対策がない」からです。準備すれば回避できます。
Q:どれくらい前から準備を始めるべきですか?
A:最低1ヶ月は欲しいです。 技術ドキュメントの作成、外部顧問の確保、想定問答の準備など、やることは多いです。シリーズAを意識し始めたら、早めに準備を始めましょう。
こんな方に特におすすめです
以下に当てはまる方は、今すぐ技術DD対策を始めてください:
- CTOがいない状態でシリーズAを目指している起業家
- 技術DDで何を準備すればいいかわからない方
- 外注開発でプロダクトを作っている非エンジニア創業者
- 投資家からの技術的な質問に不安を感じている方
- 技術顧問の活用を検討している方
- 開発の失敗を回避しながら資金調達を成功させたい方
今すぐ準備を始めるべき理由:
シリーズAの調達活動は、思っている以上に時間がかかります。
投資家との最初のミーティングで「技術DDをやりましょう」と言われてから準備を始めるのでは遅いのです。
準備ができていれば、自信を持ってDDに臨めます。
準備ができていなければ、せっかくの調達機会を逃すかもしれません。
まとめ:CTOがいなくても、技術DDは乗り切れる
技術DDを乗り切って資金調達を成功させる
この記事のポイントをおさらいします。
重要なポイント
- 投資家は「CTOがいるか」より「技術リスクを把握しているか」を見ている
- 7つの技術ドキュメントを準備すれば、非エンジニアでもDDに対応できる
- 技術的な質問には、3つの回答パターンで対応できる
- 外部の技術顧問や開発パートナーを活用すれば、CTOの代わりになる
- 正直さとビジネス観点が、技術DDを「強み」に変える鍵
準備すべき7つのドキュメント
- 技術スタック一覧(選定理由付き)
- システムアーキテクチャ図
- セキュリティ対策チェックリスト
- 技術的負債リスト
- 開発ロードマップ
- 開発プロセス説明書
- チーム体制と採用計画
今日からできるアクション
- 現在の技術スタックをリストアップする
- 開発チームに技術的負債を確認する
- 技術顧問の候補を探し始める
- シリーズA向けの技術ドキュメント作成を開始する
CTOがいないから、シリーズAは無理だ。
その思い込みが、あなたの成長を止めていませんか?
正しい準備をすれば、CTOがいなくても技術DDは乗り切れます。
投資家が見ているのは、「CTOの有無」ではなく「技術をマネジメントできる能力」です。
技術DD対策、一人で進めるのが不安ですか?
- 準備すべきドキュメントの内容がわからない
- 技術顧問を探しているが、見つからない
- 投資家への説明の仕方に自信がない
- 外注先とのコミュニケーションがうまくいっていない
- そもそも技術的な部分の判断に不安がある
一つでも当てはまるなら、専門家の力を借りてみませんか?
atelier binary(アトリエ・バイナリ)では、「技術がわからないことで挑戦を諦める非エンジニア起業家をゼロにする」というビジョンのもと、技術DD対策から開発の失敗回避、コスト削減、技術選定まで、非エンジニア創業者の技術面でのサポートを行っています。
CTOがいなくても、正しい方向に進んでいるか確認できます。
30分の無料相談で、あなたの技術DD対策にフィードバックをお伝えします。