アジャイル開発とウォーターフォール、あなたの新規事業に合っているのはどっち?
「どの開発手法で進めますか?」という質問に答えられない
「御社はアジャイルでいきますか?ウォーターフォールでいきますか?」
開発会社との打ち合わせで、こう聞かれたことはありませんか?
「アジャイル…?ウォーターフォール…?何が違うの?」
正直、よくわからないまま「お任せします」と答えてしまった。そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
開発手法の選択は、プロジェクトの成否を左右する重要な決定です。
しかし、非エンジニアにとって、その違いはわかりにくい。「とりあえずアジャイルで」と言われるがまま進めた結果、こんな問題が起こることがあります:
- スコープが膨張: 「アジャイルだから柔軟に対応できます」と言われ、要望を追加し続けた結果、予算が2倍に
- 完成しない: いつまで経っても「もう少しで完成です」と言われ続け、リリースできない
- 品質がバラバラ: 作っては壊し、作っては壊しを繰り返し、最終的にまともに動かない
逆に、ウォーターフォールを選んだ場合も:
- 途中で変更できない: 開発が始まったら「仕様変更は追加費用です」と言われる
- 完成してから後悔: 実際に使ってみたら「思っていたのと違う」
- 市場に間に合わない: 開発に1年かかり、リリース時には競合に先を越されていた
開発手法の選択を間違えると、数百万円の損失と、数ヶ月の時間を失います。
開発手法がわからないのは当然のこと
「開発手法なんて、エンジニアじゃないとわからない」
そう思っていませんか?
実は、開発手法の本質は、ビジネスの進め方の話です。技術の話ではありません。
経営者であるあなたが理解すべきなのは、コードの書き方ではなく、「どうやってプロジェクトを進めるか」という方法論です。
それさえ理解すれば、開発会社に「お任せ」する必要はなくなります。
自分の事業に合った開発手法を、自分で選べるようになるのです。
この記事でわかること
開発手法の選び方がわかる
この記事では、非エンジニアの経営者が開発手法を正しく選ぶための知識を解説します。
読み終わる頃には、以下のことができるようになります:
- アジャイルとウォーターフォールの違いを説明できる
- それぞれのメリット・デメリットを理解できる
- 自分の事業に合った手法を判断できる
- 開発会社との打ち合わせで適切な質問ができる
- 開発手法の選択ミスによる失敗を回避できる
技術的な専門知識は一切不要です。ビジネスの視点から、わかりやすく解説します。
ウォーターフォール開発とは?
滝のように流れる開発プロセス
ウォーターフォール(Waterfall)は、日本語で「滝」。
上から下へ、一方向に流れる水のように、工程を順番に進めていく開発手法です。
要件定義 → 設計 → 開発 → テスト → リリース
一度決めた仕様に基づいて、各工程を順番にこなしていきます。次の工程に進んだら、基本的に前の工程には戻りません。
ウォーターフォールの特徴
1. 最初にすべてを決める
開発を始める前に、作るものの仕様をすべて決めます。画面の設計、機能の詳細、データベースの構造…。最初の段階で、完成形を明確にします。
2. 工程ごとに区切りがある
各工程が終わるごとに、成果物をレビューして承認します。「要件定義書」「設計書」「テスト結果報告書」など、ドキュメントがしっかり残ります。
3. 変更に弱い
一度決めた仕様を途中で変更すると、多くの工程に影響が出ます。変更するには追加費用と追加時間が必要になることが多い。
ウォーターフォールが生まれた背景
ウォーターフォールは、1970年代に提唱された手法です。
当時のソフトウェア開発は、今よりもずっとコストが高かった。コンピュータの性能も低く、一度作ったものを修正するのは大変でした。
だから、最初にしっかり計画を立てて、一発で正しく作ることが重視されました。
建築業界の手法を参考にしたとも言われています。ビルを建てるとき、途中で「やっぱり10階建てを15階建てにしよう」とは言えませんよね。
アジャイル開発とは?
小さく作って、素早く改善する
アジャイル(Agile)は、日本語で「俊敏な」「機敏な」という意味。
小さな単位で開発とリリースを繰り返し、ユーザーのフィードバックを受けながら改善していく開発手法です。
計画 → 開発 → リリース → フィードバック → 計画 → 開発 → ...(繰り返し)
最初から完璧なものを作ろうとせず、まず動くものを作って、使いながら改善していくのが特徴です。
アジャイルの特徴
1. 短いサイクルで開発する
1〜4週間程度の「スプリント」と呼ばれる期間で、計画から開発、リリースまでを行います。短期間で成果物が出るため、進捗が見えやすい。
2. 変更を歓迎する
開発途中での仕様変更を前提としています。ユーザーの反応を見て「やっぱりこっちの方がいい」と方向転換することが可能。
3. ドキュメントより動くソフトウェア
詳細な設計書を作り込むより、実際に動くものを見せることを重視します。「百聞は一見にしかず」の発想です。
アジャイルが生まれた背景
アジャイルは、2001年に「アジャイルソフトウェア開発宣言」として提唱されました。
インターネットの普及により、ソフトウェア開発のスピードが求められるようになった時代。
ウォーターフォールでは、開発に時間がかかりすぎて市場の変化に対応できないという問題が顕在化していました。
「最初から完璧を目指すより、まず出して、改善していこう」という考え方が生まれたのです。
比較:アジャイル vs ウォーターフォール
アジャイルとウォーターフォールの比較
基本的な違い
| 観点 | ウォーターフォール | アジャイル |
|---|---|---|
| 計画 | 最初に全体を計画 | 短期間で計画・実行を繰り返す |
| 変更 | 変更しにくい | 変更を歓迎する |
| リリース | 全部完成してからリリース | 部分的に順次リリース |
| ドキュメント | 詳細なドキュメントを作成 | 必要最小限のドキュメント |
| 顧客との関わり | 最初と最後に関わる | 常に関わり続ける |
| リスク | 最後まで成否がわからない | 早い段階でリスクが見える |
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メリット・デメリット比較
ウォーターフォールのメリット:
- 見積もりが正確(全体像が決まっているため)
- 進捗管理がしやすい
- ドキュメントがしっかり残る
- 大人数のチームでも管理しやすい
ウォーターフォールのデメリット:
- 途中での変更が難しい
- 実際に動くものを見るまで時間がかかる
- 完成してから「違った」と気づくリスク
- 市場の変化に対応しにくい
アジャイルのメリット:
- 早い段階で動くものが見られる
- フィードバックを反映しやすい
- 方向転換がしやすい
- ユーザーの反応を見ながら改善できる
アジャイルのデメリット:
- 最終的な費用が読みにくい
- スコープが膨らみやすい
- 頻繁なコミュニケーションが必要
- ドキュメントが不足しがち
新規事業にはどちらが向いているか?
結論:多くの新規事業にはアジャイルが向いている
新規事業の多くは、アジャイル開発が向いています。
なぜか?新規事業には以下の特徴があるからです。
1. 「何を作るべきか」が明確でない
新規事業では、最初から正解がわかっていることは稀です。「たぶんこれがユーザーに求められているはず」という仮説でスタートすることがほとんど。
ウォーターフォールで最初に仕様を固めてしまうと、その仮説が間違っていた場合、大きな損失になります。
アジャイルなら、仮説を検証しながら軌道修正できます。
2. 市場の変化が速い
新規事業が狙う市場は、変化が激しいことが多い。競合の動き、ユーザーのトレンド、技術の進歩…。
1年かけて開発している間に、市場環境が大きく変わることもあります。
アジャイルなら、市場の変化に合わせて優先順位を変えることができます。
3. 予算とリソースが限られている
スタートアップや新規事業は、大企業と違って潤沢な資金があるわけではありません。
失敗したときの損失を最小限に抑える必要があります。
アジャイルなら、小さく始めて、うまくいったら拡大という戦略が取れます。
ただし、例外もある
すべての新規事業にアジャイルが向いているわけではありません。
ウォーターフォールが向いているケース:
- 規制産業(金融、医療など):コンプライアンス要件が厳しく、ドキュメントが必須
- 要件が明確なシステム:既存システムの置き換えなど、作るものが決まっている場合
- 外部委託で丸投げしたい場合:頻繁なコミュニケーションが取れない状況
- 予算が厳密に決まっている場合:「この予算内で」という制約が強い場合
開発手法を選ぶ5つの判断基準
では、具体的にどう判断すればいいのか。以下の5つの基準でチェックしてみてください。
判断基準1:要件の確実性
質問:作りたいものの仕様は、どれくらい明確ですか?
| 状況 | 向いている手法 |
|---|---|
| 機能も画面も詳細に決まっている | ウォーターフォール |
| 大まかなイメージはあるが詳細は未定 | アジャイル |
| 何を作るべきかも手探り | アジャイル |
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判断基準2:変更の可能性
質問:開発途中で要件が変わる可能性はありますか?
| 状況 | 向いている手法 |
|---|---|
| 変更はほぼないと断言できる | ウォーターフォール |
| 変更する可能性がある | アジャイル |
| ユーザーの反応を見て変えたい | アジャイル |
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判断基準3:リリースの緊急性
質問:いつまでにリリースする必要がありますか?
| 状況 | 向いている手法 |
|---|---|
| 完璧なものを時間をかけて作りたい | ウォーターフォール |
| できるだけ早くリリースしたい | アジャイル |
| まず最小限の機能でリリースしたい | アジャイル |
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判断基準4:コミュニケーション頻度
質問:開発チームとどれくらい関わりたいですか?
| 状況 | 向いている手法 |
|---|---|
| 最初に要件を伝えたら任せたい | ウォーターフォール |
| 定期的に進捗を確認したい | どちらでも可 |
| 毎週〜隔週でレビューしたい | アジャイル |
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判断基準5:予算の柔軟性
質問:予算はどれくらい柔軟ですか?
| 状況 | 向いている手法 |
|---|---|
| 予算は絶対に超えられない | ウォーターフォール |
| 多少の変動は許容できる | どちらでも可 |
| 成果に応じて追加投資も検討できる | アジャイル |
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開発会社に確認すべき5つの質問
開発手法が決まったら、開発会社に以下の質問をしてみてください。回答の仕方で、その会社の実力がわかります。
質問1:「どちらの手法が得意ですか?」
良い会社は、両方の経験があり、プロジェクトに合わせて提案できます。
「うちはアジャイルしかやりません」「ウォーターフォール一択です」という会社は、柔軟性に欠ける可能性があります。
質問2:「アジャイルの場合、スコープ管理はどうしますか?」
アジャイルの落とし穴は、スコープの膨張。「なんでも変更できます」と言う会社は要注意。
良い会社は、「予算内でできることを優先順位付けして進めます」と説明できます。
質問3:「ウォーターフォールの場合、仕様変更にはどう対応しますか?」
「一切変更できません」も「なんでも対応します」も危険。
良い会社は、「変更管理プロセスがあり、影響範囲と追加費用を明示してから対応します」と説明できます。
質問4:「進捗報告はどのように行いますか?」
開発手法に関わらず、定期的な進捗報告は必須。
「完成したら連絡します」は論外。少なくとも週次、できれば日次で進捗が見える体制が望ましい。
質問5:「過去に同様のプロジェクトでどんな問題がありましたか?」
問題が起きたことがない、という会社はありえません。
良い会社は、過去の失敗とそこから学んだことを正直に話してくれます。
よくある失敗パターンと回避策
失敗パターン1:「アジャイル」を言い訳にした無計画
症状: 「アジャイルなので、まず作り始めましょう」と言われるがまま開発が始まる。ゴールが曖昧なまま進み、いつまでも完成しない。
原因: アジャイルを「計画しなくていい」と誤解している。
回避策: アジャイルでも、MVP(最小限の製品)の定義とリリース目標は最初に決める。「まず何をリリースするか」を明確にしてから開発を始める。
失敗パターン2:「ウォーターフォール」を言い訳にした硬直性
症状: 開発途中で重要な問題が見つかっても、「仕様が決まっているので変更できません」と言われる。結果、使えないシステムが納品される。
原因: ウォーターフォールを「変更は一切不可」と誤解している。
回避策: 変更管理プロセスを最初に合意しておく。変更が必要な場合の判断基準と、追加費用の算定方法を明確にする。
失敗パターン3:手法の選択を開発会社任せにする
症状: 開発会社の都合で手法が決まる。自社のビジネスに合わない進め方をさせられ、失敗する。
原因: 発注側が開発手法を理解していないため、判断を丸投げした。
回避策: この記事の判断基準で、自社に合った手法を自分で判断してから、開発会社と相談する。
こんな方は開発手法を見直してください
以下に当てはまる方は、今の開発手法が本当に適切か、確認することをお勧めします:
- 「アジャイル」と言われているが、進捗が見えない
- 要件変更のたびに「追加費用です」と言われる
- 開発が始まって3ヶ月以上経つが、動くものがない
- 開発会社と週に1度も話していない
- 「最初に決めたので変更できません」と言われている
- どちらの手法で進んでいるのかよくわからない
開発手法の選択ミスは、プロジェクトの失敗に直結します。
今からでも軌道修正できる可能性はあります。
まとめ:あなたの新規事業に合った手法を選ぼう
開発手法選択のまとめ
この記事のポイントをおさらいします。
アジャイル vs ウォーターフォール まとめ
| 観点 | ウォーターフォール | アジャイル |
|---|---|---|
| 向いているケース | 要件が明確、変更が少ない | 要件が不明確、変化が激しい |
| 新規事業との相性 | △(例外的に向いている場合あり) | ◎(多くの場合向いている) |
| 必要なコミュニケーション | 少なめ | 多め |
| 予算の予測しやすさ | 高い | 低い(変動しやすい) |
| 失敗リスクの可視化 | 遅い(最後までわからない) | 早い(途中で気づける) |
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開発手法選択の5つの判断基準
- 要件の確実性——作るものが決まっているか
- 変更の可能性——途中で変わる可能性はあるか
- リリースの緊急性——いつまでに出す必要があるか
- コミュニケーション頻度——どれくらい関わりたいか
- 予算の柔軟性——予算に余裕はあるか
今日からできるアクション
- この記事の判断基準で、自社に合った手法を考える
- 開発会社に5つの質問をして、対応力を確認する
- 現在進行中のプロジェクトがあれば、手法が適切か見直す
- 不安があれば、第三者に相談する
開発手法の選択は、プロジェクトの成否を左右します。
「よくわからないから任せる」ではなく、自分で判断できる知識を持つことが、失敗を防ぐ第一歩です。
開発手法の選択、自信を持って決められますか?
- アジャイルとウォーターフォール、どちらが自社に合っているかわからない
- 開発会社に言われるがまま進めているが、本当にこれでいいのか不安
- 今の開発の進め方に問題を感じている
- プロジェクトが思うように進んでいない
一つでも当てはまるなら、第三者の意見を聞いてみませんか?
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