「エンジニア採用」はまだ早い。創業期に雇うべきは「コードが書ける参謀」である理由

エンジニア採用創業期スタートアップCTO技術顧問

「エンジニア採用」はまだ早い。創業期に雇うべきは"コードが書ける参謀"である理由「エンジニア採用」はまだ早い。創業期に雇うべきは"コードが書ける参謀"である理由

「エンジニアを採用しなきゃ」という焦りが、失敗を招く

「プロダクトを作りたい。だからエンジニアを採用しなければ」

非エンジニアの創業者なら、一度はこう考えたことがあるはずです。

そして多くの場合、こんな壁にぶつかります:

  • 採用できない — 優秀なエンジニアはスタートアップに来てくれない
  • 採用しても続かない — 入社してもすぐに辞めてしまう
  • 採用しても機能しない — 何を作ればいいか指示できず、お互いにフラストレーションが溜まる
  • 採用コストが重すぎる — 年収600〜1000万円。創業期の資金には重すぎる

特に深刻なのは3番目、**「採用しても機能しない」**問題です。

フルタイムのエンジニアを採用したのに、毎日「次は何を作ればいいですか?」と聞かれる。自分は技術のことがわからないから、的確な指示が出せない。エンジニアは手持ち無沙汰になり、モチベーションが下がる。結局、数ヶ月で退職...

これは珍しいケースではありません。創業期のエンジニア採用失敗の典型パターンです。

なぜこうなるのか?

答えはシンプルです。創業期に必要なのは「手を動かすエンジニア」ではないからです。

「エンジニアがいれば解決する」という幻想

「エンジニアさえ採用できれば、プロダクトが作れる」

この考え方自体が、実は間違っています。

創業期のスタートアップには、「何を作るか」がまだ決まっていないという根本的な問題があります。

ユーザーが本当に求めているものは何か。どんな機能があれば使ってもらえるか。どの市場から攻めるべきか。これらの答えは、まだ見えていません。

この状態でエンジニアを採用しても、彼らに渡せる「仕様書」がないのです。

エンジニアは本来、「何を作るか」が決まった後に、それを最適な形で実装する専門家です。「何を作るか」を考えることは、彼らの本業ではありません。

もちろん、プロダクト志向のエンジニアもいます。しかし、そういう人材は極めて希少で、かつ高額です。シード期のスタートアップが採用できる可能性は、正直に言って低いでしょう。

では、創業期に本当に必要なのは何か?

それが**「コードが書ける参謀」**です。

「エンジニア」ではなく「コードが書ける参謀」という発想

この記事では、創業期に本当に必要な技術人材の姿と、その見つけ方について解説します。

「エンジニアを採用する」という発想から、**「コードが書ける参謀を迎える」**という発想へ。この転換が、開発の失敗回避、コスト削減、正しい技術選定を実現する鍵になります。

読み終える頃には、以下のことが明確になるはずです:

  • 「エンジニア」と「コードが書ける参謀」の決定的な違い
  • 創業期に参謀が果たす5つの役割
  • 参謀を見つける3つの方法と、その具体的なコスト感

コードが書ける参謀の役割コードが書ける参謀の役割

「エンジニア」と「コードが書ける参謀」の決定的な違い

まず、「エンジニア」と「コードが書ける参謀」の違いを明確にしましょう。

エンジニア(実装者)の特徴

  • 役割:仕様に基づいてコードを書く
  • 求めるもの:明確な要件定義、設計書、タスクリスト
  • スキル:特定の言語・フレームワークの深い専門性
  • 働き方:フルタイムで継続的にコードを書く
  • コスト:年収500〜1000万円(正社員の場合)

コードが書ける参謀の特徴

  • 役割:技術とビジネスの橋渡し役
  • 求めるもの:ビジョンと課題の共有
  • スキル:幅広い技術知識 + ビジネス理解 + コミュニケーション力
  • 働き方:週数時間〜数日の関与で十分
  • コスト:月10〜50万円(業務委託の場合)

最大の違いは、「指示を待つ」か「一緒に考える」かです。

エンジニアは「何を作るか」が決まっていることを前提としています。一方、参謀は「何を作るべきか」を一緒に考えてくれます。

創業期に必要なのは、明らかに後者です。

創業期に「コードが書ける参謀」が果たす5つの役割

では、具体的に参謀はどんな価値を提供してくれるのでしょうか?

役割1:技術的実現可能性の即時判断

「このアイデア、技術的に作れる?」 「作れるとしたら、どのくらいの規模感?」

創業者の頭の中には、次々とアイデアが浮かびます。しかし、それが技術的に実現可能かどうか、自分では判断できません。

参謀がいれば、その場で回答が得られます。

「それはLINEのMessaging APIを使えば、2週間程度で作れます」 「その機能は技術的には可能ですが、個人情報の取り扱いで法的リスクがあります」 「それはノーコードツールで十分です。コードを書く必要はありません」

この即時フィードバックが、アイデアの取捨選択を劇的に速くします。

外注に相談する場合、この回答を得るだけで1〜2週間かかることも珍しくありません。参謀なら、Slackで聞けば当日中に答えが返ってくる。この差は、累積すると莫大な時間の節約になります。

役割2:「作らない」という判断

創業期の最大の失敗は、**「作る必要のないものを作ってしまう」**ことです。

外注に依頼すると、彼らは「作ること」が仕事なので、基本的には作る方向で話が進みます。「それ、本当に必要ですか?」とは聞いてくれません。

参謀は違います。

「その機能、Google Formsで代用できませんか?」 「最初からアプリを作る必要はありません。まずはLPと手動対応で検証しましょう」 「それは後回しにして、まずこっちの仮説を検証した方がいいのでは?」

「作らない」という提案ができるのは、参謀がビジネス全体を理解しているからです。

開発会社は「言われたものを作る」のが仕事。参謀は「作るべきかどうかを一緒に考える」のが仕事。この違いが、無駄な開発コストを劇的に削減します。

役割3:適切な技術選定

「React vs Vue、どっちがいい?」 「AWSとGCP、どちらを選ぶべき?」 「ノーコードで作るか、フルスクラッチで作るか?」

技術選定は、非エンジニアにとって最も難しい判断のひとつです。

外注に聞いても、彼らは自社の得意な技術を勧めがちです。「うちはReactが得意なので、Reactでいきましょう」と。それが御社のビジネスに最適かどうかは、二の次になりがちです。

参謀は、御社のビジネスに最適な技術を提案します。

「御社の規模感なら、最初はノーコードで十分です。スケールしたらリプレイスしましょう」 「BtoB SaaSなら、この技術スタックが保守性・採用の両面で有利です」 「今の要件ならFirebaseで十分ですが、将来この機能が必要になるならAWSの方がいいですね」

技術選定の間違いは、後から取り返すのに莫大なコストがかかります。最初の段階で正しい選択をすることが、長期的なコスト削減につながります。

役割4:外注・採用の目利き

いずれプロダクトが固まってきたら、実装を担うエンジニアが必要になります。外注するか、採用するか、いずれにしても「技術力を見極める目」が必要です。

非エンジニアの創業者には、これが極めて難しい。

「この開発会社の見積もり、妥当なの?」 「この候補者のスキル、本当にうちに合ってる?」 「ポートフォリオを見せられても、良し悪しがわからない...」

参謀がいれば、プロの目で評価してくれます。

「この見積もりは相場の1.5倍です。交渉の余地があります」 「この候補者はフロントエンドは強いですが、インフラは弱そうです。御社の課題を考えると、もう少しフルスタック寄りの人が良いかもしれません」 「このコード、設計は綺麗ですが、テストがないのが気になります」

採用や外注で失敗すると、数百万円〜数千万円の損失になります。参謀への投資は、この失敗を防ぐ保険としても機能します。

役割5:創業者の技術リテラシー向上

最も見落とされがちですが、実は最も重要な役割かもしれません。

参謀と日常的に会話することで、創業者自身の技術リテラシーが向上します。

  • 「API」「データベース」「フロントエンド」などの用語が理解できるようになる
  • 「これは簡単」「これは難しい」の感覚がつかめるようになる
  • エンジニアとの会話で、的外れな質問をしなくなる
  • 外注との交渉で、足元を見られなくなる

技術リテラシーの向上は、一生モノの資産です。

今後、どんなビジネスをやるにしても、技術抜きには考えられない時代です。参謀との協働を通じて自然に身につく技術リテラシーは、創業者にとって計り知れない価値があります。

コードが書ける参謀を見つける3つの方法コードが書ける参謀を見つける3つの方法

「コードが書ける参謀」を見つける3つの方法

では、どうすれば参謀を見つけられるのでしょうか?

方法1:知人・紹介ネットワークを活用する

最もおすすめの方法です。

信頼できる知人からの紹介であれば、人柄やスキルについてある程度の保証があります。また、紹介者の顔があるので、お互いに誠実に対応しようという動機が働きます。

具体的なアクション:

  • LinkedInやFacebookで「技術顧問を探している」と発信する
  • 起業家コミュニティで相談する
  • 投資家やアクセラレーターに紹介を依頼する
  • 以前の仕事仲間で、技術に強い人を探す

コスト感:月10〜30万円程度(週4〜8時間の関与を想定)

方法2:フリーランスプラットフォームを活用する

Wantedly、bosyu、YOUTRUST、Offersなどのプラットフォームで、業務委託のCTOや技術顧問を探すことができます。

選ぶ際のポイント:

  • スタートアップでの経験があるか
  • 技術だけでなく、ビジネス視点での発言があるか
  • コミュニケーションが円滑か(レスポンスの速さ、説明のわかりやすさ)
  • 長期的な関係を築けそうか

コスト感:月15〜50万円程度(スキル・経験により大きく変動)

方法3:専門サービスを利用する

技術顧問やCTO代行を専門に提供するサービスを利用する方法もあります。

私たちアトリエ・バイナリも、「技術がわからないことで挑戦を諦める非エンジニア起業家をゼロにする」というビジョンのもと、このようなサービスを提供しています。

専門サービスの良いところは、マッチングの質が担保されている点です。フリーランスプラットフォームでは、玉石混交の中から自分で選ばなければなりません。専門サービスなら、審査を通過した人材のみが紹介されます。

また、契約や料金体系が明確なのもメリットです。「どのくらい払えばいいのかわからない」という不安がありません。

コスト感:月20〜50万円程度(サービスにより異なる)

こんな創業者は今すぐ「参謀」を迎えるべき

以下のいずれかに当てはまる方は、エンジニア採用より先に参謀を迎えることを強くおすすめします:

  • 「何を作るか」がまだ固まっていない
  • エンジニアを採用しても、何を指示すればいいかわからない
  • 外注の見積もりが妥当なのか判断できない
  • 技術的な会話になると、何もわからなくなる
  • 「とりあえずフルタイムエンジニアを採用すれば解決する」と思っている

特に最後の項目に当てはまる方は要注意です。

フルタイムエンジニアは「手を動かす人」です。「何を作るか」が決まっていない状態で採用しても、お互いに不幸になるだけです。

まずは参謀を迎え、「何を作るか」を一緒に考える。そして、作るものが決まったら、実装を担うエンジニアを採用(または外注)する。

この順番が、創業期の正しい技術人材戦略です。

まとめ——「エンジニア」より先に「参謀」を

まとめ:創業期に必要なのはコードが書ける参謀まとめ:創業期に必要なのはコードが書ける参謀

この記事でお伝えしたことを振り返りましょう。

創業期のエンジニア採用が失敗する理由:

  • 「何を作るか」が決まっていない状態で、「作る人」を採用している
  • エンジニアは本来、仕様が固まった後に活躍する専門家
  • 創業期に必要なのは「手を動かす人」ではなく「一緒に考える人」

コードが書ける参謀が果たす5つの役割:

  1. 技術的実現可能性の即時判断 — アイデアの取捨選択を爆速化
  2. 「作らない」という判断 — 無駄な開発コストを削減
  3. 適切な技術選定 — 長期的なコスト最適化
  4. 外注・採用の目利き — 失敗リスクを大幅に軽減
  5. 創業者の技術リテラシー向上 — 一生モノの資産を獲得

参謀を見つける3つの方法:

  1. 知人・紹介 — 最も確実で、コストも抑えやすい
  2. フリーランスプラットフォーム — 選択肢が多いが、目利きが必要
  3. 専門サービス — 品質が担保され、契約も明確

「エンジニアを採用しなきゃ」という焦りは、一度脇に置いてください。

創業期に本当に必要なのは、「何を作るか」を一緒に考えてくれる、コードが書ける参謀です。

参謀とともに「作るべきもの」を明確にする。そして、それが固まったら、実装を担うエンジニアを迎える。

この順番を間違えなければ、開発の失敗は大幅に回避できます。コストも最適化できます。技術選定も正解に近づきます。

あなたのスタートアップが、正しい順番で正しい人材と出会えることを願っています。

関連記事